稲架に掛け続けて75年。

久仁夫さん「天然湧き水のはさがけ米」

手をかけた分だけ応えてくれる久仁夫さんのお米。

柴田久仁夫さん
「天然湧き水のはさがけ米」 生産農家、田んぼ紹介

文責:古庭屋商店・小林茂和 写真:古庭屋商店・小林茂和 最終更新日:2019.10.21

お米を作り続けて75年
柴田久仁夫さん(83歳)

柴田久仁夫さんが生まれたのは昭和11(西暦1936年)年7月。あの太平洋戦争が始まる5年も前のことです。
今のような農業用機械がなかった久仁夫さんの幼少の頃、米作りは家族総動員で取り組む”仕事”ならぬ”家事”でした(”村事”と言った方が正しいのかもしれません)。猫の手も借りたい、そんな当時の状況ですから小学校に上がる頃には米作りの戦力とみなされ、少年時代の久仁夫さんも田んぼに出ていたようです。

それから75年以上経った今、羽後町田代地区でもはさがけで天日乾燥させる農家が急速に減っているなか、その知識と経験は田代地区で群を抜いています。

稲の成長を体で測る久仁夫さん

稲の成長を体で測る久仁夫さん

天然の湧き水が潤す、
久仁夫さんの田んぼ。

タップorクリックで地図が動かせるようになります

柴田久仁夫さんの田んぼは米作りに最適な場所にあります。

秋田県羽後町田代地区は出羽丘陵の中山間地域にあります。田代地区の中央は盆地状に開けているのですが、久仁夫さんがはさがけ米を育てる田んぼは、その中央部から少し外れた北と南に山が迫る沢沿いにあります。南側に山がありますが、低い山のため、田植え(5月)〜稲刈り(9月)までの期間は日当たりを邪魔しません。また、西に向かって開けているので太陽が沈むまでしっかりと日当たりを確保できます。

稲をかける前の稲架

南北を山に挟まれますが、
日当たりたっぷり久仁夫さんの田んぼ

さらに、県内屈指の特別豪雪地帯に指定される場所だけあって水も豊富。山で涵養されて滲み出た混じりっけのない天然の湧き水が久仁夫さんの田んぼを潤しています。

そして、北東北の秋田県、中山間地域にあり、標高は300m。昼夜の温度差が大きいという環境もGOOD。これらの地理的好条件に、久仁夫さんの真面目で几帳面な性格と75年の知識と経験、はさがけによる天日・自然乾燥が加わりますから、鬼に金棒とはこのことです。この好条件で育てられるお米は幸せだなぁとつくづく思います。美味しくないワケがありません。

米作り一問一答
久仁夫さん編

古庭屋(以下「古」) : お米の専業農家ですか?
久仁夫さん(以下「久」) : 若い時は色々やったな…。米と兼業で電気工事の仕事や水道工事などなど。当時から兼業ってのはこの地域は皆当たり前だった。猟銃の免許を持って山にも入ってたよ。80歳を超えてから返納したけどね。今はお米とベゴ(牛)3頭。はさがけで出たワラや籾殻がベゴ飼うのに必要だし、ベゴの糞尿が堆肥になって田んぼに還って、それがいい肥やしになる。

: 循環型スタイルの田んぼですね!?
: はさがけとベゴ飼う循環型の農業はここらあたりじゃ昔から続く風景だけど、今となってはコンバイン入れればいいだけだからね。循環型スタイルは副産物。はさがけしたお米は旨いから、どうせ作るなら旨いお米を作りたい。ただそれだけですよ。

牛。ゆりちゃん。

ゆりちゃん、300kg。

久仁夫さん家のベゴ(牛)

自宅で飼う牛は、循環型農業の象徴です。

: 米作りの工程で一番大変なのは、やはりはさがけですか?
: んだ。昔は田植えから何からすべて手作業(もしくはアナログな機械)だったから、当時だったらどの工程も同じように大変で、どの作業が大変か順位はつけられない。耕すのも田植えも機械となった今は ”はさがけ” が一番大変だな。これは機械化できないし、この工程を抜かりなくしっかりやることで、とっても旨いお米ができる。

久仁夫さんの田んぼ

過程を綺麗にやれば、味も整う。(久仁夫さん談)

: この田んぼに立てる木は縦木(タテボク)と呼んでるけど、これを立てる為の穴を掘るのも手作業だし、木を立てるのも手作業で一人でやる。縦木に使うのは栗の木が一番なんだけど、生木のまま田んぼに立てるとどういうワケか芯から腐る。だから、田んぼに立てる前に3ヶ月は水につけておかないといけない。はさがけの準備に色々と手間もかかるんだね。
それに、縦木の立て方が上手くないと、はさがけ後に強風が吹いて倒れちまう。腕の見せ所だよ。因みに、わぁ(私)が立てた稲架は一度も倒れたことはない(笑)。

: なるほど、手間ヒマがかかる上に、リスクもある。
: んだ。強風が吹いたり、雨が降ったり。自然が相手だから仕方がない…。でもちゃんとやれば旨いお米になるんだ。一度ぜひ喰ってたんせ。

羽後町・はさがけ米農家、柴田久仁夫さん

はさがけ米農家、柴田久仁夫さん

久仁夫さん
「天然湧き水のはさがけ米」
購入はこちらから

令和元年(2019年)産のはさがけ米は、現在、稲架に掛けて天日乾燥中です。
10月中頃の販売を予定しております。
楽しみにお待ちください。